本学においては、⼤学 1〜2 年次の「全学教育」が、「教養教育」と呼ばれるようになったのは、平成 24 年度からです。それは、従来の教育を⼤きく変えるという強い意思の表れでもありました。 教養教育の始まりは、昭和 23 年〜24 年に設置された新制⼤学の教育課程が、⼀般教育と専⾨教育に分けられて編成されたときに遡ることができます。現代⼈として必要な⼀般教養を⾝に付けるために導⼊された⼀般教育が教養教育とも呼ばれ、⼊学直後の⼤学教育を担っていました。しかし、時代の経過とともに、その趣旨が徹底されることが少なくなり、⾃然科学、社会科学、⼈⽂科学からなるリベラルアーツ教育が主流となりました。これに加え、1991 年の⼤学設置基準の⼤綱化による教養部の廃⽌は、教養教育の意義を問い直すこととな りました。そのとき本学においては、教養教育の重要性を認識し、全学の教員がそれを担当することにして充実を図ろうとしましたが、学⽣と教員の間に教養教育に対する不満が蓄積される結果となってしまいました。 ⼀⽅、18 歳⼈⼝の過半数が⼤学に⼊学するユニバーサル時代にあって、未来社会で要求される諸能⼒を育成する基盤としての⼀般教育の意義が再認識され始めました。つまり、批判的精神や探究能⼒といった諸能⼒の基盤形成の場として脚光を浴びてきたのです。本学においても論議を繰り返し、リベラルアーツ教育からの脱却と 21 世紀社会に求められる諸能⼒の基盤形成を⾏うとの合意のもと、アクティブラーニングを主とした主体的な学びの場としてのGeneral Educational を⾏うこととしました。そして、それを教養教育と呼ぶことにしたのです。
教養教育
教養教育の概要
⻑崎⼤学は国際社会でリーダーになる⼈物を育て上げるために、教養教育を以下のように⾏います。
- 教養教育の必須科⽬で⼤学の学習法を⾝に付けるとともに、英語などでのコミュニケーション能⼒を⾼め、⾃主的に考え発信する⼒を培います。
- 学問を尊敬する態度はもちろんのこと、⾃らを⾼め、変⾰する⼒、相互に啓発し合う態度の形成を⾏います。また、課題探求能⼒の向上も図ります。
- 専⾨教育と連携し、各学部で育成する能⼒・態度の形成に貢献します。
- これら教養教育と専⾨教育を、ディプロマポリシー(卒業認定、学位授与に関する⽅針)に向けて有機的に組み合わせます。
教養教育の内容と目標
- 研究者や専⾨職業⼈としての基盤的知識を持つ⼈
- ⾃ら学び、考え、主張し、⾏動変⾰できる⼈
- 環境や多様性の保全に貢献できる⼈
- 地球と地域社会及び将来世代に貢献できる⼈
即ち、これらの能⼒・態度の基盤の形成が、本学の教養教育の⽬標となります。これらは、社会⼈基礎⼒や 21 世紀型スキルと共通する部分が多く、具体的にはそれらに⽰されている「批判的精神」、「探究⼒」、「チームワーク⼒」、そして、「⼀歩前に進む⼒」などの能⼒・態度を育成する内容となっています。
具体的には、⼤学教育への転換科⽬となる「教養ゼミナール」、情報社会を⽣きる基礎を学ぶ「情報処理科⽬」、⻑い⼈⽣を通した健康を考える「健康・スポーツ科⽬」、英語コミュニケーション⼒を向上させる「英語コミュニケーション」、中国語、韓国語、フランス語、そして、ドイツ語を学ぶ「初習外国語科⽬」、上述した諸能⼒・態度育成を前⾯に打ち出した「全学モジュール科⽬」と「学部モジュール科⽬」、⾃⼰の興味・関⼼に応じたり、能⼒の伸張や不⾜を補うための「⾃由選択科⽬」、さらには、留学⽣の皆さんに開かれてい る「留学⽣⽤科⽬」の 8 科⽬から編成されています。この中で、特筆すべきはモジュ ール科⽬です。これは、本学が独⾃に考案した科⽬であり、新しい⼤学教育のあり⽅を⽰したものと⾃負しています。